ブラザー工業株式会社
- 女性従業員同士の情報交換が
育児休業期間改正のきっかけに -
ブラザー工業株式会社で働く母親が情報交換のために発足したグループ「Brother Mothers’(マザーズ活動)」は、出産・育児を経験した女性従業員からの「仕事と家庭の両立に関するノウハウを共有できないか」という呼びかけからスタートしました。以来、有志が集まり、ブログを通しての情報発信、ランチオフ会での情報交換などを行っています。この場で先輩ママの生の声を聞くことにより、産後休暇並びに育児休業からの職場復帰に際して生じる不安解消などにもつなげています。
育児休業期間は「マザーズ活動」からの意見をきっかけに改正されました。1歳を超えた最初の3月31日までと定めていた部分を1か月延長し、翌月末までとすることで、保育園に通い始めの不安定な時期に子育てに専念することができます。
また、「働きやすい」と「働きがいのある」を両立できる会社を目指し、様々な取組や環境整備、制度づくりを行っています。具体的な成果としては、厚生労働省が子育て支援に積極的に取り組む企業を認定する「くるみん」マークを取得したり、Great Place to Work® Institute Japanによる「働きがいのある会社」調査で、平成22年の初応募以来、4年連続でベストカンパニー30社に選ばれました。このような制度に応募することで、客観的な視点から自社の制度に対するプラス面、マイナス面を検証することができるとともに、何よりも従業員一人ひとりのモチベーション向上にもつながります。働きやすい職場で、誇りをもって業務にあたる従業員を増やすことが、企業にとってはかけがえのない財産となる、という思いのもと、積極的に環境整備、制度づくりに取り組んでいます。平成25年1月末に「平成25年 働きがいのある会社」の全国第17位に認定されました。
http://www.brother.co.jp/csr/employee/activation/index.htm#01
育児・介護に関する先進的な取組
- ●子が1歳6か月もしくは1歳を超えた最初の3月31日の翌月末まで育児休業取得が可能。
- ●子が小学校4年生の始期(直近の3月31日)まで育児を目的とする短時間勤務が可能。
- 短時間勤務は5時間50分、6時間50分から選択。
- ●配偶者の出産時に3日間の特別休暇取得が可能。
- ●出産祝い金として10,000円支給、別途労働組合より5,000円支給。
- ●家族の介護もしくは子の看護のための休暇として年間10日間取得可能。
- ●介護休業は、一事例につき3年間取得可能。
- 所定労働時間を5時間50分もしくは6時間50分に設定できる介護を目的とする短時間勤務は通算6年間利用可能。
- ●「カフェテリア」プランの利用により、福利厚生費として年間24,000円相当を補助。(管理職は11,000円相当)
- 託児施設の利用や子の教育費、介護施設、介護サービス利用など様々な用途に利用可能。
- ●介護に対する意識の向上と介護休業制度の周知徹底を図るため、平成24年2月から管理職を対象とした介護セミナーを5回開催。平成25年度は年4回実施予定。
保育園の通い始めも安心
育児休業期間を、子が1歳6か月もしくは1歳を超えた最初の3月31日の翌月末までに改正。保育園に通い始めたばかりで、生活スタイルも精神的にも不安定な親子が、新生活に慣れるまでの期間として、休業可能期間を1か月延長しました。また、産前・産後休暇並びに育児休業中の従業員にはPCを貸与し、自宅で社内イントラを閲覧できる環境を整備。スムーズな復帰をサポートするために、社内の情報提供を積極的に行っています。
※保育園への申し込みを行っているが入所できない場合(待機児童となった場合)は、2歳を超えた最初の3月31日の翌月末まで例外延長を認めています。
先輩ママとの交流
働きながら子育てをする先輩ママや、今後、出産や育児を控える女性従業員の有志で構成する「マザーズ活動」。育児に関する体験談や制度利用者の声を「Mother’sブログ」で発信する他、毎月開催する「ランチオフ会」で子育てに関することや仕事と育児との両立について情報交換しています。
段階的な職場復帰で負担を軽減
育児を目的とする短時間勤務は、子が小学校4年生の始期(直近の3月31日)まで可能。5時間50分もしくは6時間50分のいずれかを選択できます。
子の看護休暇と介護休暇は、それぞれ年間10日間取得可能です。また、所定労働時間を5時間50分もしくは6時間50分に設定できる介護短時間勤務制度は通算6年間利用できます。
これらの制度により、急激な負担を軽減することができ、段階的な職場復帰が可能になりました。さらに24時間体制で介護に関する相談窓口を設置し、相談しやすい環境づくりを行っています。イクメンの推進
男性従業員の育児休業取得を推進しており、平成24年の育児休業取得開始者52名のうち、8名が男性従業員でした。社内イントラネットの中に「パパも子育て」というコーナーを設け、育児休業を取得した男性従業員の体験談などを掲載。先輩パパの感想を広く伝えることで、育児をする男性への理解度アップやイクメンの推進につなげています。また男性従業員は配偶者の出産時、3日間の特別休暇取得が可能です。
WLBにつながる様々な取組
- ●チャレンジングな風土の醸成と職務内容や職種(評価・処遇)の適正化を目的に、他の職種へ変わる「職種転換制度」を設定。
- 現職場における仕事のレベル、能力、本人の意志、部門や上司の判断を考慮した上で転換を認める制度。
- ●「リフレッシュ休暇制度」を設定。
- 勤続年数や年齢により、年次有給休暇を最低で3日間と特別休暇2日が取得可能。
- ●ボランティア活動を支援する目的で、ボランティア休暇取得が可能。
- また会社が推奨する「ボランティア活動保険」に加入する場合には、費用の全額を会社が負担。
challenge for the future
従業員が抱える介護問題の実態を吸い上げる
介護に関しては、育児に比べて休業制度利用に少なからず抵抗感があるようです。このような介護の実態を把握するために、平成24年度に40歳以上の従業員を対象にアンケートを実施しました。さらに、介護に関しては、休業や短時間勤務の期間が予測し難いという懸念もあるため、他の従業員の意識付けやサポート体制を整えるためにも、管理職に対する介護セミナーを定期的に実施しております。
これからWLBに取り組む企業様へのアドバイス
リスク管理を含めた通常時からのワークシェア
制度をより多くの従業員に活用してもらうためには、育児、介護を問わず、休業や短時間勤務など、制度を積極的に利用できる職場環境と雰囲気づくりが不可欠です。そのためには、制度の周知徹底はもちろんのこと、業務におけるリスクマネージメントの意味合いも含めて、ワークシェアを進めることが重要なポイントになります。同僚や上司との情報共有を徹底し、急な体制変更にも対応できるよう、ワークシェアを行っていきます。
社員の声
子どもが病気のため長期入院することになりました。病院は泊まり込みの付添いが必要でしたが、身内も遠方で頼りにできず、子どものそばで闘病生活を支えるため、2か月ほど介護休職制度を利用しました。「仕事のことは心配せず、今は家族のことに専念しろ」と言ってくれた上司、休職中、業務をサポートしてくれた職場の方々に心から感謝しています。一時は仕事を辞めることも考えていましたが、制度を利用するという選択をしたことで、今はまた仕事と育児とに奮闘する充実した毎日を過ごせています。復職し、自分にとって仕事がとても大切なものなのだとあらためて実感しました。今後、少しでも恩返しができるようがんばっていきたいです。
(30代 女性従業員)
ブラザー工業株式会社
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- 製造業
- 名古屋市
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3,921名(単独:男性3,204名、女性717名)
※平成24年9月30日現在 - 情報通信機器、家庭用ミシン、工業用ミシン、工作機械、通信カラオケなど幅広い分野で製品やサービスを提供。
- http://www.brother.co.jp